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Masashi KONDO 刺繍プロトタイプツアー

刺繍プロトタイプツアー@桐生

SISYU主催の2泊3日の『刺繍プロトタイプツアー』のプレツアーを2020年3月に群馬県桐生市で行いました。このツアーは、刺繍の現場を訪問し、その技術や表現を知った後、実際にプロトタイプをデザインし制作するというものです。ツアーの参加者である、株式会社 pole-poleのMasashi KONDOさんに、ツアーのご感想や刺繍の魅力について伺いました

◇プロフィール ◇

Masashi KONDO(近藤 正嗣)

1983年 愛知県生まれ。株式会社pole-pole共同代表。多摩美術大学大学院テキスタイル専攻修了後、Nike TokyoDesign Studio にてカラー&マテリアルデザイナーとして働く傍ら、フリーランスのテキスタイルデザイナーとして活動する。フィンランド/マリメッコ社の2011 年春夏のシーズンに自身がデザインしたテキスタイルが発売される。2012 年春より独立し、フリーランスとしてオリジナルの布地の制作や販売、多数の企業へデザイン提供。2017年に志を同じくするテキスタイルデザイナー3人で株式会社pole-poleを設立。

http://from-pole-pole.com/

桐生のまちの印象はいかがでしたか?

桐生は繊維産地なので知り合いも多いので何度か行ったことがありますが、最近の桐生は若い人が新しいこと始めていて、みんなが楽しそうだなって感じています。地方都市に行くと「何もない」ってネガティブな声を聞くことが多いですが、桐生に行くと楽しそうな人に出会うことが多いなと。それに生活の文化レベルが高いというか。まちの人がまちを大切にしている印象を受けます。

町並みも真ん中に道路が通っていて、商店街があって、人が集まる雰囲気があるし、閉じてない感じがする。僕はいろいろな町に行く機会が多いのですが、桐生のまちは他のどことも似てない感じが面白いなぁって。観光地ではないけど、立ち寄りたくなる要素があるっていうのが、すごいなって思います。

ツアー中の様子、桐生のまちなかにて

近藤さんにとって産地や工場はどんな存在ですか?

テキスタイルを作る上では、工場さんに作ってもらって初めて出来上がるものなので、現場に足を運ぶようにしています。デザインのアイディアはあっても、産地や工場に行って教えてもらわないと、結局何も分からないんですよね。

僕がやりたいことってトリッキーなことが多かったりするので、最初は難しい顔をされるのですが、「面白くするためには」って一緒に考えてくれるのが、とてもありがたいです。

職人さんって、話したら優しい人が多い印象で、親身になっていろいろ相談のってくださいますよね。桐生の職人さんも、快く教えてくださる方が多いですし、産地という土地柄、その工場でできなくても別のところを紹介してくださって、そういう産地の横のつながりって、柔軟性がとても高いなって。

ツアーで訪問した松平ワークスさん。抜型を見せていただきました

パートナーとなる工場とどうやって出会いますか?

知り合いに教えてもらったり、展示会で会った方にお願いしたりしています。それ以外に工場さんとどうやって知り合ったらいいのか正直お手上げって感じです。ネットの情報を見てお願いするのって難易度が高いなって。

なので、今回ツアーで連れて行ってもらえてすごく楽しかったです。たまたま知り合いが工場に勤めてて、とかじゃないと行って話をできる機会ってないので、僕らのニーズを聞いてくれて案内してもらえるのはありがたいですね。展示会でも出会いはありますが、逆に出会いが多すぎちゃって決めきれなかったりするので、よく知っている人に案内してもらえると、つながりやすいなって思います。

2泊3日のツアーでプロトタイプの制作に取り組みましたがいかがでしたか?

今回は、桐生のユニマークさんに制作を担当いただき、刺繍の上に、熱転写でプリントするという手法での表現に挑戦しましたが、面白かったですね。

刺繍のデザインの原案を描く近藤さん

刺繍を2Dと捉えるか?3Dと捉えるか?なのですが、限りなく平面に近い中でも、糸の方向の違いでプリントだけでは出せない立体感が出て面白かったです。

刺繍のパンチデータを作成するユニマーク尾花さん

ゴツゴツした感じの石と、丸い感じの石の2種類を制作しましたが、その質感の違いも刺繍の縫い方の違いで表せていました。刺繍した上に、熱転写でプリントを重ねるのも、難しいなとおっしゃっていたのに、出来上がってきたサンプル見たら、ドンピシャにすごい綺麗に出来上がっていて、さすがの技術力だなとほれぼれしました。

試作で仕上がった石のデザインの刺繍2点

面白い表現なので、今後は石だけではなくて、花とか昆虫とかバリエーションを考えて、商品化していきたいと考えています。

普段プリントやテキスタイルの制作が多いと思いますが、改めて刺繍ってどうでしたか?

刺繍をやりたい人はいっぱいいるんじゃないかな?僕の印象ですが、プリントやっている人だと、インクジェットやって、シルクスクリーンプリントやって、と難易度上げていきますが、その次に刺繍で表現の幅を広げていきたいって人はたくさんいるんじゃないかなって思います。テクスチャーを好きな人は多いですよ。

刺繍って、コストもかかるし、奥が深くて教えてもらわないと分からない。表現の仕方も無限大だと思うので。僕も、刺繍で次にやってみたい表現があるのですが、どうやったらいいのかは教えてもらうことで、初めてカタチにできるのかなと思っています。

刺繍ミシンやプリントの機械が並ぶユニマークさんの工場

今後SISYUに期待することは?

地域のことをよく知っていてほしいです。それに、桐生とつながりたい、ものづくりをしたいって思った時に「SISYU」がパッと検索にヒットしてほしいというか、すぐ見つかってほしいなと思います。

デザイナーって感覚的なことを言うので、それをうまく汲み取って、工場さんとつないでもらえるのはとってもありがたいなって思うので、頑張ってほしいです!僕も、改めてチームのメンバーとまた桐生に行きたいと思っています。

編集後記

群馬県桐生市は、東京から車で2時間程度とアクセスもよい、撚糸、織り、編み、染め、縫製、加工、刺繍とそれに関連する事業者が集積している複合繊維産地です。デザイナーやクリエイターと技術者との懸け橋に、SISYUがなっていけたらと思っています。はじまったばかりのSISYUですが、これから様々な方とお会いできるのを心から楽しみにしています

文:SISYUコーディネーター 星野あさみ